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DEUX ANKRES

2018.05.27

こちらは只今、ラマダンに突入しております。
聞こえる会話も食い気味に、ヤケクソな笑い声はとても大きく、ローリンしているカーステレオから流れる爆音のオリエンタルサウンド、もちろんドライバーさんの顔は達観気味。もはや皆さん臨界点に達しているのでしょう。きっと家に帰れば、あらゆる食肉を壁や床に叩き、投げつけ、大の字にふんぞり返って天井に張り付いた少しのミンチを無心で眺めているに違いありません。
そのムスリムにおいて肉と言えば禁断の豚肉。そして、豚肉と言えばサーロ。
僕は生粋のサーロ狂であり、サーロ中毒者であります。グルヂンカではなくサーロ、純サーロです。石川県内、いや北陸では間違いなくトップクラスのアディクトであると自負しております(富山港周辺でニラみを効かせているスラヴ人を除く)。日本では時間があればサーロを仕込み、お世話になった方々へ半ば強引にふるまっておりました。どんなに大きな問題や立ちはばかるカタストロフも、このサーロを一切れ食べれば瞬時に解決してしまいます。
そんなサーロが購入出来る唯一のブルガリア食材店 ” DENY ” は、サーロ難民にとってのオアシスであります。
deny-market
これでも石川県ロシア協会会員のはしくれであり、加工品を購入するという背徳感はありますが、背に腹は変えられません。どこぞのウクライナ人に「アカン。アカンよキミ。ホームメイド以外サーロとは認めへんよ。」といわれても構いません。
solena
ブルガリアでは  ” サラニーナ ” と呼ばれているみたいです。 ラベルには ” サレーナ ” と印字されています。キリルのお勉強も役にたっており、他にも沢山ある保存食の表記がスラスラと読めてしまい、何だか気分がよろしいです。
トルコがウクライナ侵略で唯一持ち帰らなかったこのサーロ。宗教上の理由とはいえ、同じエリアで生活しながら極上の至福を共有出来ない事が少し悲しく思えてしまいます。そして僕は、彼らの禁欲を意とするそのラマダンを尻目に、欲望と脂身にまみれたこのサーロを上品にスライスいたします。
それでは。